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婚姻関係が破綻して別居していても、婚姻が解消されない限り婚姻費用分担義務があるのが原則です。
ただ、婚姻費用の分担額を決定するに当たっては、夫婦各自の資産・収入・その他一切の事情を考慮して決めることになります。
「その他一切の事情」には別居の事情なども含まれます。
過去の審判例では
「別居の責任が妻にあると認められるのみならず、妻が自活能力があるにもかかわらず、実家の援助に寄りかかって積極的に自活の努力をしていないことなどからすれば、妻は自己の生活費を夫に請求することは出来ないが、子の生活費については、婚姻費用の一部として夫にも分担義務がある」(大阪家審昭和41年)
「婚姻費用分担請求において、別居の主な原因が妻の不貞行為にある場合には、婚姻費用として自身の生活費に当たる部分を相手に対して請求することは権利の濫用として許されず、同居の未成年の子の監護費用に当たる部分を請求しうるにとどまると解するのが相当である」(東京家審平成20年)
子供が居ない事例では
「有責配偶者からの婚姻費用分担審判の申し立てがされた場合には、申し立て自体が権利の濫用として婚姻費用をゼロ円とする趣旨で申し立てを却下するか、そうでないとしても、通常の夫婦間における扶養義務よりも程度を減じて分担を命じるのが相当である」(大阪高裁平成16年)
などがあります。
今回のご相談の事例であれば、お子様の生活費については当然負担すべきと考えられますが、奥様の生活費に掛かる部分についてはある程度減額する方向で考えて問題ないものと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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